腎臓ってどんな臓器?|小児ネフローゼ症候群の子を持つ父親が調べた

小児ネフローゼ症候群は腎臓の病気です。そのため腎臓について勉強することは、小児ネフローゼ症候群を理解するうえでも大切になります。今回は腎臓の組織と機能についてまとめました。

腎臓の組織とはたらき

腎臓は胸と腰の中間あたりの背中側に左右に1個ずつある、ソラマメ型の臓器です。その人の握りこぶしくらいの大きさで、赤ちゃんで長径4㎝程、小学校~中学校を卒業する頃には大人と同じ長径10㎝程になります。

腎臓の最大の役割の一つが血液をきれいにし、尿をつくることです。そのため、心臓から出る身体で一番太い血管の大動脈から直接血液が流れ込みます。その量は心臓から出る血液の20~25%にもなります。大動脈から腎臓への血管を腎動脈といい、そこから腎臓の中で血管が枝分かれしていきます(毛細血管)。

糸球体

腎臓の糸球体は、腎動脈から枝分かれした毛細血管が集まり、糸のようにとぐろを巻いた構造(糸の玉のような)をしています。糸球体は左右の腎臓に100万個ずつ、合計で200万個以上あります。

糸球体内の血管は壁が薄く、血球より小さな穴がたくさんあいています。ここがフィルターの役割をしていて、血液が通ることで血液中の小さな成分や水分がろ過され、血管の外に出ていきます(原尿)。糸球体はボウマン嚢という袋の中にあり、ろ過された原尿はこのボウマン嚢に受け止められます。糸球体とボウマン嚢を合わせて腎小体(マルピギー小体)といい、血管が出入りする方を血管極、近位尿細管につながる方を尿細管極といいます。

糸球体は血液のろ過工場で、サイズが大きくて穴を通れない血球や蛋白質以外は、必要な物、不要な物の区別なく無差別に漉し出しています。大人の場合、一日にろ過される原尿の量は150ℓ~200ℓです。これがすべて尿とて体外に排出されたら大変なことになりますので、ボウマン嚢にたまった原尿は尿細管に流れ、必要なのものは再吸収されます。

特発性ネフローゼ症候群で蛋白尿がでる理由
特発性ネフローゼ症候群の原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、免疫細胞のT細胞やB細胞が腎臓に悪影響を及ぼしているのではないかと考えられています。
糸球体の毛細血管壁には血液をろ過するための穴があいています。詳しく見てみると、血管内皮細胞、基底膜、糸球体上皮細胞足突起で構成されています。さらに足突起にはスリット膜という構造物があります。内皮細胞、基底膜、スリット膜の三層構造が血液のろ過膜として機能しています。
この内、スリット膜の構造が壊れることで、本来ならサイズが大きくてろ過されない蛋白質が漏れて尿と一緒に排出されてしまいます。ここにT細胞やB細胞が関与していると推定されています。特発性ネフローゼ症候群は免疫や血液の病気と言えます。

尿細管

ボウマン嚢から流れてきた原尿が通る水路が尿細管です。尿細管の表面には、原尿の中の必要な物をくみ上げて体内に再吸収する口がたくさんあります。原尿の水分の99%は尿細管で再吸収され、体内でリサイクルされます。尿になるのは一日に1~1.5ℓ程です。

尿細管は近位尿細管、ヘレンループ、遠位尿細管、集合管に分けられます。
  • 近位尿細管:水、ナトリウム、カリウム、ブドウ糖、アミノ酸、尿酸などを再吸収
  • ヘレンループ:水、ナトリウムを再吸収
  • 遠位尿細管:水、ナトリウムを再吸収、カリウム、水素、アンモニアなどを分泌
  • 集合管:水を再吸収して最終的な濃縮操作をする、カリウム、水素などを分泌

腎小体(糸球体、ボウマン嚢)と尿細管を合わせてネフロンといい、腎臓の基本的な機能単位になります。糸球体が一個の腎臓に100万個あると前述しましたが、ネフロンが100万個あると言い換えられます。

まとめ

  • 腎臓は左右に一個ずつあり、糸球体、ボウマン嚢、尿細管が200万個以上集まった臓器で、血液をきれいにして尿をつくるはたらきがある
  • 糸球体とボウマン嚢を合わせて腎小体(マルピギー小体)といい、腎小体と尿細管を合わせてネフロンという。
  • 特発性ネフローゼ症候群はスリット膜の構造が壊れることで尿蛋白が出てしまうと考えられている。

腎臓は脳と同じくらい精巧、精密な構造をしている臓器といわれています。腎臓のはたらきの中でも一番重要な血液をきれいにして尿をつくること、そのための組織についてまとめました。

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