【小児ネフローゼ症候群】腎生検をおこなうことはあるのか?

今回は小児ネフローゼ症候群において、腎生検をおこなうことはあるのかについてお伝えしていきます。

小児ネフローゼ症候群と腎生検

小児ネフローゼ症候群の多くは微小変化型ネフローゼ症候群で、ステロイド薬への反応があり寛解(尿蛋白が陰性になること)することができるので、腎生検をおこなうことはありません。

腎生検を必要とすることもある

小児ネフローゼ症候群では以下のような場合、腎生検を検討します。

腎生検を考慮する場合
  • 続発性ネフローゼ症候群の場合
  • ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の場合
  • 腎毒性の副作用がある免疫抑制薬を使う場合

続発性ネフローゼ症候群の場合

糖尿病や膠原病、慢性糸球体腎炎など、別の病気によって引き起こされるものを続発性ネフローゼ症候群といいます。原因である病気を診断し重症度を知るため、治療方針の決定のために腎生検をおこなうことがあります。

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の場合

ステロイド薬を開始して4週間経過しても寛解しないネフローゼ症候群です。ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群と診断されると、腎生検をして組織学的診断をおこなうことがあります。微小変化型、巣状分節性糸球体硬化症、びまん性メサンギウム増殖の3つに分類されますが、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群は巣状分節性糸球体硬化症の場合が多いです。

腎毒性の副作用がある免疫抑制薬を使う場合

ステロイド薬には多くの副作用があるため使用量を減らす必要があります。そこで使われるのが免疫抑制薬です。免疫抑制薬のうち、シクロスポリン(ネオーラル、サンディミュン)やタクロリムスを使用する場合は腎生検をおこなう必要があります。

頻回再発型ネフローゼ症候群やステロイド依存性ネフローゼ症候群で使用されることが多いシクロスポリンには、長期に使用した際の副作用として、腎毒性(腎障害の副作用)があります。初期の腎障害は、血液検査や尿検査ではわからないため、シクロスポリンを開始する前と、開始後2~3年に1回ほどの間隔で腎生検をおこない、薬が継続できるかどうかを判断します。

まとめ

  • 小児ネフローゼ症候群はステロイド薬に反応する微小変化型ネフローゼ症候群であることが多い。その場合、例外を除いて腎生検はおこなわない。
  • 続発性ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、腎毒性の副作用がある免疫抑制薬を使う場合は腎生検を検討することがある。

私の長男は微小変化型ネフローゼ症候群ですが、頻回再発型・ステロイド依存性でもあるためシクロスポリン(ネオーラル)を使用しています。そのため、シクロスポリンを使用する前に腎生検をおこないました。長男の場合は、経皮的腎生検という背中に針を刺して組織を採取する方法でおこないました。

腎生検をすると聞いてとても不安でしたが、術後の異常もなく元気に過ごしています。傷跡も本当に小さく虫刺されくらいの大きさで、よく見ないとわからないほどです。

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