【小児ネフローゼ症候群】腎不全、透析、腎移植になる可能性はあるのか?

ネフローゼ症候群は腎臓の糸球体基底膜に障害が起きることで、高度尿蛋白、低蛋白血症が見られます。腎臓の病気ということで、将来的に腎不全になり透析や腎移植が必要になるのかと心配になると思います。ここでは、小児ネフローゼ症候群の患者が腎不全になり、透析、腎移植する可能性はあるのかお伝えしています。

【小児ネフローゼ症候群】腎不全、透析、腎移植になるのか?

先に結論から言ってしまうと、ネフローゼ症候群では、治療に効果が見られず尿蛋白が出続けている場合を除いて、透析や腎移植が必要になることはありません。何度再発しても、治療で寛解すれば腎臓の機能が悪くなることはなく腎不全にはなりません。

小児ネフローゼ症候群ではステロイド薬に反応があるケースが多いため、腎不全に移行することは少なく、透析や腎移植になることも少ないです。

腎不全
腎機能が低下する病態の総称。腎不全になってもある程度までは食事や薬で治療はできますが、それでも追いつかなくなると透析や腎移植が必要になってきます。
透析療法
末期腎不全で見られる様々な症状を緩和するために行われる方法。
人工的に、
  • 血液中の余分な水分や老廃物を除去する
  • 体内に不足している物質を補う
ことをおこないます。透析には血液透析と腹膜透析があります。小児の多くは腹膜透析になります。
腎移植
他人の腎臓を一つ体内に移植し自分の腎臓の代わりに働いてもらう、末期腎不全の治療。健康な家族から提供してもらう生体腎移植と亡くなった方からの献腎移植があります。

透析療法、腎移植をするネフローゼ症候群

大量の蛋白尿、血液中の蛋白質濃度の低下の二つの診断基準を満たせば、病気の原因が何であれネフローゼ症候群と呼ばれます。

ネフローゼ症候群には、腎臓の組織を調べた結果や薬の効き方などでいくつかの分類に分けられます。

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小児ネフローゼ症候群の多くは微小変化型ネフローゼ症候群であり、ステロイド薬への反応があるため、透析や腎移植が必要になることはありません。しかし、以下のネフローゼ症候群では腎不全になる可能性があり、透析、腎移植を必要とする場合があります。

  • 【先天性ネフローゼ症候群】
  • 遺伝子の変化によるもので生後3ヶ月以内に発症します。ステロイド薬が効かず、有効な治療法がない病気です。
  • 【巣状分節性糸球体硬化症】
  • 特発性ネフローゼ症候群に分類されます。巣状分節性糸球体硬化症の約30%は5~10年の経過で腎不全に進行し、透析や腎移植が必要になります。
  • 【ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群】
  • ステロイド薬を開始して4週間経過しても寛解しないもの。ステロイドパルス療法や免疫抑制剤への反応が見られないと、5~10年の経過で腎不全に移行する可能性が高くなります。ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の25%程が腎不全になります。ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群は巣状分節性糸球体硬化症である場合が多いです。
  • 【膜性腎症】
  • 70%がネフローゼ 症候群を呈します。ステロイド薬への抵抗性があり、他の治療薬でも抵抗性がある場合腎不全に移行することもあります。
  • 【膜性増殖性糸球体腎炎】
  • 約80%でネフローゼ症候群が起きます。膜性増殖性糸球体腎炎の半数は5〜10年で腎不全に至ります。
  • 【糖尿病性腎症】
  • 糖尿病の三代合併症のひとつ(糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症・糖尿病性神経障害)。ネフローゼ症候群を呈することが多く、最終的に腎不全に至ります。
など

まとめ

  • ネフローゼ症候群は治療で寛解すれば腎臓の機能が悪くなることはなく腎不全にはならない。そのため、透析や腎移植が必要になることはない。
  • 難治性ネフローゼ症候群(先天性ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 など)は腎不全に移行する場合がある。

私の長男は微小変化型ネフローゼ症候群で、頻回再発型・ステロイド依存性でもあります。これまでに何度か再発はしましたが、その都度ステロイド薬で治療し寛解してきました。

初発の時はネフローゼ症候群の知識もなく、落ち込むことも多かったですが、情報収集をしていくに従って冷静に考えることができるようになりました。

ネフローゼ症候群のお子さんをお持ちの親御さんは、まずはネフローゼ症候群について勉強してください。わからないことは医師に相談してください。そうすることで今の不安も少しずつ取り除かれていきます。

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