病気を持つ子供とその親の心理状態は、病気がわかった当初はとても不安定で、ネガティブな思考に偏ってしまいます。様々な変化を経て、やがて前向きな気持ちに向かっていきます。ここでは、病気の子供と親の心理についてお伝えしています。
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病気を持つ子供の心理
自分が悪いから
子供が病気になったとき、このように考えてしまう子がいます。
- 私が悪い子だから病気になったんだ。
- お母さんの言うことを守らなかったから病気になったんだ。
病気になったのは自分のせいだと考えることがあります。もし、子供がそのようなことを言ってきたら、「あなたは決して悪くない」、「たまたま病気になったんだ」と優しく伝えてください。
自分の気持ちを抑える
病気によってはつらい治療を受けている子供もいます。その中には、「注射は痛くない」、「他の子も頑張って治療を受けているから、自分だけわがままを言えない」と、親に心配をかけないように自分の気持ちを抑えて出さなくなってしまう子もいます。
無理に子供の気持ちを聞き出すことはしなくていいですが、子供が病気や治療について話をするときは、子供が自分の気持ちを素直に出せるように、どんな話でも聞いてあげてください。「注射は痛いから嫌だ」と言うなら、「注射って痛いよね。嫌だよね。嫌だけどいつも頑張っているね。」と子供の気持ちに共感してください。
子供の気持ちを受け止めてあげる、そうすれば、子供は「自分の気持ちを言っていいんだ」、「お父さん、お母さんは自分のことをわかってくれている」と、感じて気持ちを抑えることが少なくなります。
親の心理
自分の子供が病気だと診断されてから、親は様々な気持ちの変化を経験します。
- ショック期 耳慣れない病名を聞かされ驚き混乱する
- 否認の時期 病気を否定したいと思う
- 順応期 治療や子供の状態の変化になれる
これと似たものに、アメリカの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスが著書「On death and dying(死ぬ瞬間)」で記した「死の受容プロセス」があります。
- 否認 自分が死ぬということは嘘ではないかと疑い、拒絶する段階
- 怒り なぜ自分が死ななければならないかと、怒りを周囲に向ける段階
- 取引 死なずにすむように神に取引を試みる段階。何かにすがろうとする心理状態。
- 抑うつ 死への恐怖で、落ち込み何もできなくなる段階。
- 受容 自分が死ぬことを受け入れる段階。
自分の子供が死んでしまうことなんて考えたくもありませんが、「自分、死」の部分を「自分の子供、病気」と入れ替えることで、同じ気持ちになると思います。
精神的な負担に加え、子供の治療のための付き添いで、親にも身体的な負担が生じます。身体的・精神的負担を経験し、さまざまな変化を経て、病気を受け入れる順応期に向かっていきます。
まとめ
- 病気を持つ子供は、自分が悪いから病気になったと考えることがある
- 病気を持つ子供は、自分の気持ちを抑えてしまうことがある
- 病気の子供を持つ親は、さまざまな気持ちの変化を経て、病気を受け入れていく。
長男が小児ネフローゼ症候群と診断されたときは、非常にショックで毎晩のように涙を流していました。長男は頻回再発型ネフローゼ症候群なので、再発のたびに不安な気持ちになっていました。いろいろな人との出会いと、その人たちとお話をすることで、今では病気を受け入れ治療を頑張ろうという気持ちでいます。