小児ネフローゼ症候群の子供を持つ父親がまとめた|尿検査について

ネフローゼ症候群は以下の二つの基準を満たせば、病気の原因はわからなくても、ネフローゼ症候群と診断されます。

  • 大量の蛋白尿
  • 血液中の蛋白質濃度の低下(低アルブミン血症)

ネフローゼ症候群を発症したとき、再発したときは、尿と血液の検査をおこないます。ここでは、ネフローゼ症候群に対しておこなう尿検査についてお伝えします。

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尿検査

尿検査は、下の二つの目的のためにおこないます。

  • ネフローゼ症候群が再発していないかの確認
  • 尿蛋白の程度を調べる

尿蛋白の検査方法(試験紙による定性法)

自宅では尿試験紙を使用して起床時の尿(早朝尿)を調べます。

なぜ早朝尿なのかというと、水分をたくさん摂ると尿が薄まってしまい正確に調べることができないからです。夜寝ている間は水分を摂りませんので、早朝尿が1日のうちで最も濃い尿になります。早朝尿を検査することで正確に評価することができます。

オムツをしている子供はどうするの?
トイレで自分で排尿できる子供は問題ありませんが、オムツをしている子供の尿検査はどうすればいいのでしょうか?
オムツが必要な小さな子供では、夜寝る前にオムツにラップを敷き、その上にガーゼなどを載せておきます。翌朝にガーゼを絞って尿検査をおこないます。

尿試験紙を試験紙を用いた定性法による尿蛋白の評価は、-、±、1+、2+、3+、4+で表示されます(4+がない試験紙もあります)。2+以上の尿蛋白が出ると異常です。2日以上、尿蛋白が2+より高ければネフローゼ症候群の再発の可能性を考えます。

±、1+は正常範囲
夜にたくさん汗をかいた朝や、発熱などで水分が十分に摂れないときの尿は濃縮され、 健康な子供でも±や1+程度の尿が出ることがありますが、これは正常範囲です。また、思春期の細身の子供では、体位性尿蛋白という生理的な尿蛋白が出ることがあります。

ネフローゼ症候群の発症時や再発時は毎朝尿検査をおこないます。寛解し、病状が落ち着いていても、週に1~2回は調べた方がいいです。また、風邪をひいたときや疲れているときは再発しやすいので、不安なときは調べてください。

尿蛋白の検査方法(定量法)

尿蛋白の検査方法には定量法(実際の濃度(mg/dL)で表す方法)もあります。

定量法では、尿中蛋白・クレアチニン比が用いられることがほとんどです。ネフローゼ症候群で受診をすると、先生から尿中蛋白・クレアチニン比を伝えられることがありますので、覚えておいてください。

尿中蛋白・クレアチニン比
1回の尿の蛋白濃度を尿中のクレアチニンで割り算した値。クレアチニンは1日に排出される量が一定、単位時間当たりの排泄量が安定している物質です。
尿中蛋白・クレアチニン比=尿蛋白(mg)/クレアチニン(mg)の数字にgをつけると、1日に排出される尿蛋白の量とほぼ同じになると言われています。尿中蛋白・クレアチニン比が0.2以下が正常で、1.0を超えれば高度蛋白尿と考えられます。

血尿の検査

尿試験紙を用いる定性検査と、顕微鏡で赤血球の数を数える尿沈渣鏡検査法があります。

特発性ネフローゼ症候群のうち、微小変化型ネフローゼ症候群の場合では血尿が出ることはほとんどありません。高度の血尿がある場合は、その他の糸球体腎炎や巣状分節性糸球体硬化症の可能性があります。

小児特発性ネフローゼ症候群の約90%が微小変化型ネフローゼ症候群ですので、血尿の心配はほぼありません。

まとめ

  • ネフローゼ症候群を発症したとき、再発したときは、尿と血液の検査をおこなう。
  • 尿検査は、ネフローゼ症候群が再発していないかの確認と尿蛋白の程度を調べるためにおこなう
  • 病院の診察では尿中蛋白・クレアチニン比が用いられる

病気の状態を理解するために、検査の意味や基準値を知ることはとても大切です。わからないことがあれば、主治医の先生に聞いて理解を深めてください。

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