ネフローゼ症候群は風邪やインフルエンザなどをきっかけに再発することがありますので、予防接種は積極的に受けた方がいいとされています。ここでは小児ネフローゼ症候群の子供が予防接種を受けることについてまとめました。最初に結論を言いますと、可能な限り予防接種は受けた方がいいとされています。
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積極的に摂取することが望ましい
原因がはっきりとはわかっていない特発性ネフローゼ症候群ですが、免疫細胞であるT細胞やB細胞が関与しているのではないかと言われています。T細胞やB細胞が活発に活動することで腎臓の糸球体にあるスリット膜の構造が壊れて、蛋白質が尿に漏れてしまうという説があります。そのため、免疫細胞が活性化しないこと、つまり風邪やインフルエンザなどの病気にかからないようにすることが、ネフローゼ症候群の再発を防ぐうえでも、とても重要になってきます。
ステロイド薬が使われる以前は、感染症による小児ネフローゼ症候群患者の1年間の死亡率は約20%にのぼりました。ステロイド薬が治療に使われるようになって死亡率は大幅に減少しましたが、ステロイド依存性ネフローゼ症候群やステロイド抵抗性ネフローゼ症候群では、ステロイド薬の長期服用、免疫抑制薬の併用で低免疫状態が続き、感染症へのリスクは高いままです。そのため、可能な限り予防接種は受けた方がいいとされています。
不活性化ワクチンは接種可能
インフルエンザワクチンなどの不活性化ワクチンは、ステロイド薬や免疫抑制薬を服用している時でも接種可能です。免疫抑制薬(シクロスポリン、シクロスファミド、ミゾリビンなど)を使用していると感染症にかかりやすく、重症化するリスクも高くなるので、積極的に接種したほうがいいです。しかし、症状が悪いときや服用しているステロイド薬の量が多いときは接種しない方がいいとされています。
病原体となるウイルスや細菌を加熱や薬剤で処理し、感染力がなくなった病原体や免疫を作るのに必要な成分で作ったワクチン。
- 小児肺炎球菌
- Hib(ヒブ)
- 4種混合
- 3種混合
- 日本脳炎
- インフルエンザ など
生ワクチンは注意が必要
免疫抑制薬内服中は、原則として生ワクチンの接種は禁止されています。そのため、免疫抑制薬を中止しているタイミングで接種することが望まれます。
しかし、免疫抑制薬を中止するとネフローゼ症候群が再発する可能性もありますので、免疫抑制薬を服用中でも、免疫状態が正常で、患者の状態が安定しているときに接種することもあります。
ウイルスや細菌の毒性を極度に弱めたもの(病原体は生きている)で作られたワクチン。
- BCG(結核)
- ロタウイルス
- 水痘(みずぼうそう)
- おたふくかぜ
- MR(麻しん風しん混合) など
ネフローゼ症候群の患者が麻しんや水痘にかかると重症化しやすく、命に関わることもあるので、できる限り抗体を持っていたほうがいいです。
まとめ
- 小児ネフローゼ症候群では可能な限り予防接種は受けた方がいい。
- 不活性化ワクチンは接種可能。
- 生ワクチンは基本的に接種が禁止されているが、患者の状態を見て接種することもある。
- 予防接種を受けるにあたっては、主治医の先生とよく相談することが大切。
小児ネフローゼ症候群は1~3歳で発症するケースが多く、様々な予防接種を受けている時期でもあります。子供の体の状態やワクチンの種類を見る必要がありますので、予防接種を受けるのは主治医の先生に相談してからにした方がいいです。稀ではありますが、予防接種がきっかけとなりネフローゼ症候群が再発することがあるようです。ウイルスの抗体があるかは血液検査で調べることができますので、主治医の先生とよく相談することが大切です。
新型コロナウイルスのワクチン接種についても主治医の先生と話し合って摂取するかどうか判断してください。