小児ネフローゼ症候群ってどんな病気?ネフローゼ症候群の子を持つ父親が必至で調べてまとめた

私の長男は3歳で小児ネフローゼ症候群と診断されました。聞いたことのない病名に、最初は「ネフローゼ症候群ってなに?」という疑問でいっぱいでした。人間は未知のものに恐怖と不安を感じます。それらを払拭するために、医師に教えてもらったこと、聞いたこと、自分なりに調べたことを備忘録としてまとめました。

小児ネフローゼ症候群の概要

尿に蛋白質が出てしまう

ネフローゼ症候群は、腎臓が正常に機能しなくなり蛋白質が尿中に大量に漏れてしまう状態のことです。その結果、血液中の蛋白質濃度が低下し、体がむくんできます。

症候群
原因不明であるが共通の症状(自他覚症状・画像所見・検査所見など)を示す場合、そのような症状の集まりに、とりあえず名前と基準を与えたものを指します。一つの病名を表すものではなく、病名というより病状を意味します。

病気の原因はわからなくても、

  • 大量の蛋白尿
  • 血液中の蛋白質濃度の低下

この二つの診断基準を満たせば、ネフローゼ症候群と呼ばれます。

小児ネフローゼ症候群の診断基準

以下は厚生省特定疾患調査研究班の診断基準です。

厚生省特定疾患調査研究班の診断基準
1.蛋白尿 1日の尿蛋白量は 3.5 g 以上ないし 0.1g/kg、または早朝起床時第 1 尿で 300 mg/100mL 以上の蛋白尿が持続する。

2.低蛋白血症

1.血清総蛋白量 → 学童・幼児: 6.0 g/100mL 以下、乳児:5.5 g/100mL 以下
2.血清アルブミン量 → 学童・幼児:3.0 g/100mL 以下、乳児:2.5 g/100mL 以下
3.高脂血症 血清総コレステロール量 → 学童:250 mg/100mL 以上、幼児:220 mg/100mL 以上、乳児: 200 mg/100mL 以上
4.浮腫  

※蛋白尿・低蛋白血症は本症侯群診断のための必須条件。
※高脂血症・浮腫は本症侯群診断のための必須条件ではないが、これを認めればその診断はより確実となる。
※蛋白尿の持続とは 3 ~ 5 日以上をいう。

こちらは国際小児腎臓病研究班 (International Study of Kidney Disease in Children :ISKDC) の診断基準です。

国際小児腎臓病研究班の診断基準
高度蛋白尿(夜間蓄尿で40 mg/時/m2 以上または早朝尿で尿蛋白クレアチニン比 2.0 g/gCr 以上)、低アルブミン血症(血清アルブミン2.5g/dL以下)によりネフローゼ症候群と診断する。
参考 微小変化型ネフローゼ症候群 Minimal change nephrotic syndrome; MCNS微小変化型ネフローゼ症候群 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター

成人のネフローゼ症候群はこの基準とは異なります。

日本の小児ネフローゼ症候群の場合、小児10万人あたり6.4人が発症しています。ネフローゼ症候群はいくつかに分類されますが、原因不明の原発性(一次性または特発性)ネフローゼ症候群は国の指定難病及び小児慢性特定疾病の一つになっています。小児の原発性ネフローゼ症候群の90%は「微小変化型ネフローゼ症候群」で、3~6歳で発症するケースが多く、全体の60%は6歳未満で発症します。男女比は 2:1 で男の子に多い傾向があります。

ネフローゼ症候群の分類

ネフローゼ症候群は3つに分類されます。

  1. 先天性ネフローゼ症候群
  2. 続発性(二次性または症候性)ネフローゼ症候群
  3. 原発性(一次性または特発性)ネフローゼ症候群

先天性ネフローゼ症候群

生後3ヶ月以内に発症するネフローゼ症候群のことで、遺伝子の生まれつきの変化によるものです。ステロイド薬が効かず、有効な治療法がない病気です。

尿蛋白を減らすために片方の腎臓を摘出したり、薬剤を対症療法として使用したりしますが、最終的には腎不全となり、腹膜透析療法や腎移植が必要となります。

先天性以外にも、乳児期から学童期にかけて発症する遺伝性のネフローゼ症候群もあります。先天性、遺伝性のネフローゼ症候群はとても稀な病気です。

続発性ネフローゼ症候群

慢性糸球体腎炎、糖尿病、膠原病などの別の病気が原因でネフローゼ症候群を発症するものです。原因である病気の治療を行うことで、ネフローゼ症候群も改善していきます。

原発性ネフローゼ症候群

上記の二つ以外の、原因が明らかではないネフローゼ症候群。小児の場合、約90%が原発性(一次性、特発性)ネフローゼ症候群に当てはまります。

原因ははっきりとはわかっていませんが、ステロイド薬などの免疫抑制薬を使用すると症状が改善されてくるので、T細胞やB細胞などの免疫系が関わっているのではないかと言われています。

治療反応による分類

ネフローゼ症候群では薬による治療をおこないますが、その反応によってもいくつかに分類されます。

  1. 【ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群】
    十分量のステロイドのみで治療して1カ月後の判定で症状が改善されないもの
  2. 【難治性ネフローゼ症候群】
    ステロイドと免疫抑制薬を含む種々の治療を6カ月おこなっても,症状が改善されないもの
  3. 【ステロイド依存性ネフローゼ症候群】
    ステロイドを減量または中止後再発を 2 回以上繰り返すため,ステロイドを中止できないもの
  4. 【頻回再発型ネフローゼ症候群】
    再発を6カ月間に2回以上再発するもの
  5. 【長期治療依存型ネフローゼ症候群】
    2 年間以上継続してステロイド、免疫抑制薬等で治療されているもの

まとめ

  • 大量の蛋白尿と血液中の蛋白質濃度の低下があればネフローゼ症候群と診断される
  • ネフローゼ症候群は原因や治療反応によっていくつかに分類される
  • 私の長男の場合は、原発性ネフローゼ症候群で頻回再発型・ステロイド依存性ネフローゼ症候群です。ステロイドはネフローゼ症候群に有効ですが、長期間使用すると自分の体内でステロイドホルモンが生産されにくくなったり、たくさんの副作用があるため、早く中止したい薬です。長男はステロイドを減量、中止すると再発してしまうので、ステロイドに変わる違う薬を試しているところです。早くステロイドを終わりにできることを願っています。

    【追記】小児ネフローゼ症候群を発症して一年後にシクロスポリン(ネオーラル)を服用し始めました。シクロスポリンを服用後二年が経ちますが、一度も再発はしていません。

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