【ステロイド薬の副作用】小児ネフローゼ症候群の成長障害

ネフローゼ症候群の治療ではステロイド薬が第一選択肢として挙げられます。小児ネフローゼ症候群の多くはステロイド薬によく反応するので、寛解(尿蛋白が陰性)することができます。しかし、頻回再発型ネフローゼ症候群やステロイド依存性ネフローゼ症候群ではステロイド薬を長期で使用しなければならず、その副作用が問題になります。

ステロイド薬の副作用はかなりの数が報告されていますが、ここでは小児ネフローゼ症候群で問題となる成長障害についてお伝えしていきます。

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ステロイド薬の副作用【成長障害】

ステロイド薬の副作用として現れる成長障害は、身長の伸びが止まることです。精神的な成長が止まるようなことはなく、外見上、身長が伸びなくなります。

成長障害のメカニズム

身長が伸びるということは、骨が縦に大きくなることを意味します。具体的には、骨の端の方にある軟骨部分(骨端成長軟骨板)の細胞が分裂し大きくなって、やがて骨に置き換わることで(内軟骨性骨化)、縦に(長軸方向に)伸びていきます。

ステロイド薬は、直接骨端成長軟骨板に作用して骨軟骨細胞の肥大成熟化を抑制し、内軟骨性骨化を阻害することで成長障害を引き起こします。また、成長ホルモンの分泌やインスリン様成長因子1などの骨端成長軟骨板での働きを抑制することでも成長障害を引き起こします。

【成長ホルモン(growth hormone : GH)】
脳の脳下垂体で作られるホルモン。血液中に放出され、肝臓に働きかけてインスリン様成長因子1(IGF-1)を作らせます。骨端成長軟骨板に働いて骨を長軸方向に伸ばします。

噛み砕いてまとめます。

ステロイド薬を服用していると・・・
  • 成長ホルモンが出ず軟骨細胞が増えない
  • 軟骨細胞自体が大きくならない
  • 軟骨細胞が骨に置き換わらない

そのため身長が伸びにくくなるということです。

成長障害はおさまるの?

成長障害はステロイド薬の副作用なので、ステロイド薬を減量、中止できればおさまります。ステロイド薬を連日投与したり、少量でも長期間投与し続けると成長障害が起こるとされています。そのため、頻回再発型ネフローゼ症候群やステロイド依存性ネフローゼ症候群では、シクロスポリンなどの免疫抑制薬を使用することが推奨されています。

長男の場合

私の長男は頻回再発型・ステロイド依存性のネフローゼ症候群です。初発後の1年間のうち合計6カ月間近くステロイド薬を服用していました。その年は身長はほとんど伸びませんでした。

その後、免疫抑制薬のシクロスポリン(ネオーラル)を服用するようになってからは、再発することなく過ごせており、身長も徐々に伸びてきました。それでも保育園では一番小さいです。我々両親も小柄ですし、父親の私も幼い頃はクラスで一番小さかったので、これからどんどん大きくなって、私と同じくらいの身長になればいいなぁと思っています。

【身長についての豆知識】
  • 身長は親からの遺伝的な要因と生活習慣や食生活などの環境要因の二つが関与しおり、遺伝的要因の方が大きく影響する
  • 両親の身長から子供の将来の身長を予測できる
  • 男子の身長 = (父親の身長 + 母親の身長 +13)÷ 2 ± 9 ㎝
  • 牛乳などに含まれるカルシウムは骨を丈夫にする。身長を伸ばす=骨を伸ばすためにはタンパク質が必要
  • 骨が伸びるのには女性ホルモンが関与している
  • 睡眠時に成長ホルモンが分泌される
参考 骨の成長・発達 - J-Stage 参考 </p> <p>ヒトの身長・体重における親子相関 - 城西大学

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