難病指定されている小児ネフローゼ症候群ですが、死亡するリスクはあるのでしょうか?ここでは小児ネフローゼ症候群と死亡に関してお伝えしています。
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小児ネフローゼ症候群の死亡リスク
小児ネフローゼ症候群の子供を持つ親として、子供が死んでしまうことは絶対に考えたくありません。子供にはどうにかして生きていてほしいと思うのが親ですが、実際のところどうなのでしょうか?
死亡する確率は低い
小児ネフローゼ症候群になっても、現代の医療技術は日々進歩していますので、死亡する確率は数パーセント程度と低いです。しかし、ゼロではありません。
小児ネフローゼ症候群の治療で第一に使われるのがステロイド薬です。様々な副作用がありますが、ネフローゼ症候群の治療には欠かすことができない薬でもあります。小児ネフローゼ症候群の多くはステロイド薬によく反応する微小変化型ネフローゼ症候群で、再発することもありますがその都度ステロイド薬で寛解できるため、比較的予後がいい腎炎です。
ステロイド薬が治療に導入される以前は小児ネフローゼ症候群の患者の死亡率は高く、特に感染症での死亡が多かったようです。1940年代にサルファ剤とペニシリンが導入され死亡率が10数パーセントになり、その後ステロイド薬が導入され死亡率が下がりました。
参考 ステロイド反応性小児ネフローゼ症候群の長期予後に関する臨床的並びに病理学的研究感染症に注意する
小児ネフローゼ症候群で特に気を付けなければならないのが感染症です。ネフローゼ 症候群では、血液中の免疫グロブリンという蛋白質(抗体)も尿に漏れ出てしまいます。そのため免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。小児ネフローゼ症候群の死亡の多くは感染症の合併が原因です。
- 敗血症:感染症の結果起こる二次的な症状。重篤化すると臓器障害やショック状態になる。
- 腹膜炎:お腹の内側や胃や肝臓、腸などの臓器を包んでいる膜を腹膜といい、腹膜に炎症が起きること。
- 蜂巣炎:皮膚の感染症。赤みや腫れ、痛みを伴う。
治療で免疫抑制薬を使うこともあるので、本人はもちろん家族全員が感染症予防に気を配る必要があります。免疫抑制薬使用下で水痘(水ぼうそう)や麻疹(はしか)にかかると重症化する恐れがあります。
まとめ
- 小児ネフローゼ 症候群の死亡率は数パーセントである
- 死亡原因の多くは感染症を合併したことによる
- 感染症対策に努めることが大切
新型コロナウイルスの影響で、手洗い、うがい、マスクの着用が励行されていることは、小児ネフローゼ 症候群の子供を持つ親としてはありがたいことだと感じます。
私の長男は微小変化型ネフローゼ症候群で頻回再発型・ステロイド依存性のネフローゼ症候群でもあります。現在はステロイド薬を中止し、シクロスポリンでの治療をおこなっています。感染症にかからないようにやれることはやる、患者の体調管理だけでなく家族全員の体調を整えることを常に意識しています。また、保育園に通っているので、園で感染症が流行っていないかを園の先生と密にやり取りをしています。